はじめに
近年、日本企業は「M&A(企業の合併・買収)」を積極的に活用しています。かつては大手同士の統合や海外進出が中心でしたが、今では中堅企業や地方企業までもがM&Aを成長戦略に取り入れる時代です。
M&Aの最大の目的は「新しい事業を一気に取り込むこと」。自社だけで新規事業を立ち上げるよりも、すでにノウハウや人材を持つ企業をグループに迎え入れる方がスピードも確実性も高いからです。
加えて背景には、各業界で深刻な人材不足があります。地方の中小企業などは人材難で経営が立ち行かなくなり、大手企業に身売りしていっているのです。
ここで転職市場に新しい傾向が生まれつつあります。それが「M&A業界」への転職チャンスです。
M&Aによる事業多角化とは?
「多角化」とは、企業が本業以外の新たな領域に進出することです。
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主力事業の限界を補うための多角化
例:家電量販が通信や金融に進出 -
成長市場に参入するための多角化
例:物流企業が介護や住宅に進出
そして今、多くの企業が「売上高1兆円」という大きな目標を掲げ、M&Aを成長の手段にしています。
企業事例1:ノジマ – 家電から金融・通信へ
ノジマは家電量販店のイメージが強いですが、実は通信キャリアショップ運営や保険事業などへM&Aで進出しています。
背景には、家電販売市場が成熟しきっていることがあります。新しい成長源を確保するため、携帯販売・金融・保険といった分野を取り込み、グループ全体で売上高1兆円企業を目指しているのです。
その結果、ノジマは「家電販売員」だけの会社ではなくなりました。
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通信知識を持つ人材
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保険や金融の経験を持つ人材
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店舗マネジメントから経営企画に挑戦したい人材
など、幅広いバックグラウンドの人材に門戸を開いています。
企業事例2:センコーグループホールディングス – 物流から生活総合産業へ
センコーは物流を基盤とする企業ですが、ホールディングス化によるM&Aを通じて商社、住宅、ライフサポート事業へと領域を拡大しています。
物流業界は人手不足や運賃規制の影響で、単独では成長に限界があります。そこでセンコーは、生活全般を支える「総合生活企業」への進化を掲げ、こちらも売上高1兆円を目指しています。
2025年3月期の決算会見では、26年度の1兆円到達はほぼ間違いないと、福田社長の発表がありました。
中間決算の報告が近々行われますので、そちらの発表にも期待したいところです。
この戦略によって、センコーグループホールディングスでは以下のような求人ニーズが広がっています。
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商社経験を持つ人材
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不動産・住宅業界での企画や営業経験者
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介護・ライフサポート事業のマネジメント経験者
「物流一筋」の会社だったはずが、今や幅広い業界の経験を持つ人材を求める企業へと変化したのです。
他社の多角化事例
・ソフトバンクグループ
通信事業に加え、アリババやARMなどへの投資でテクノロジー投資会社へ。AI・IoT人材の需要を一気に増やしました。
・楽天
ECから金融、通信、旅行まで事業を多角化。異業種出身の人材が数多く活躍しています。
・パナソニック
家電中心から、EV電池・車載部品などの成長領域へ参入。製造業からITや環境系のキャリアに広がりを生んでいます。
M&Aで生まれる新しい求人ニーズ
事業の多角化に伴い、求められる人材は大きく変化しています。
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経営企画・事業開発担当
新規事業の立ち上げや事業シナジーを設計するポジション。 -
M&Aアドバイザリー・財務人材
買収先の選定や資金調達に関わるプロ人材。 -
PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)人材
M&A後の統合作業を担う。人員配置、システム統合、文化の融合など。 -
CxO候補・新規事業責任者
経営層と並走しながら、新しい会社の顔となる人材。
これらは一般的な転職市場にはあまり出てこない、経営に直結するポジションです。
求職者にとってのメリット
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異業種からの挑戦が歓迎されやすい
新規事業には前例が少ないため、他業界のノウハウが強みになる。 -
キャリアアップが加速する
大手企業の新規事業責任者として入社することで、短期間で経営層に近い立場を経験できる。 -
将来性のある分野へ移れる
縮小業界に留まるより、成長領域へシフトする方が安定したキャリア形成につながる。
【M&A業界へ、おすすめの転職エージェント2選】
M&A業界に特化した転職サービスで、オススメできるものが少なかったので、今回は2選でご容赦ください。
| サービス名 | 特徴 |
|---|---|
| M&Aジョブボード |
M&A業界は、無形商材営業の最高峰とも言われる業界で、成果次第では年収1億円以上をも目指せる、営業マンにとって誰しもが1度は憧れる業界 |
| ヤマトヒューマンキャピタル |
「5,000名以上のキャリア面談を行い、経営×ファイナンス業界への転職支援事例多数。その中でもM&A業界への転職支援数は業界トップクラスの転職エージェント |
まとめ:M&A時代の転職戦略
ノジマやセンコーグループHDのように、M&Aによる事業多角化で売上高1兆円を目指す企業は増えています。
これは、経営企画・事業開発・新規事業責任者といった経営に直結する求人が増えることを意味します。
こうしたポジションは一般的な転職サイトには出回らず、M&Aや経営幹部に特化した求人サイトに集中しています。
非公開求人やCxO候補案件など、通常の転職市場では出会えない案件が見つかるのはこうした特化型サイトならでは。
M&A時代のキャリアを成功させるためには、「情報を先に得る」ことが最大の武器になります。
今まさに、あなたのキャリアを大きく飛躍させるチャンスが到来しているのです。



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