【取材記事】心理学の教授に聞いた ストレスを溜めない方法

有識者の声
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仕事のストレスは、特定の業界や職種だけの問題ではありません。
忙しさ、人間関係、責任、将来への不安。働いている限り、形を変えて誰にでも降りかかってきます。

以前、某大学の心理学教授に話を聞く機会がありました
その中で印象的だったのは、「ストレスに強い人は、ストレスを感じない人ではない」という言葉です。

「自分が弱いからしんどいのかもしれない」
そう感じてしまう人ほど、実は真面目で、仕事に向き合ってきた人なのだと思います。

教授の話を聞いていて感じたのは、長く安定して働いている人たちが身につけているのは、気合や根性ではなく、ストレスから回復するための考え方と習慣だということでした。

仕事のストレスは、気合では減らせない

仕事のストレスを感じたとき、「自分が弱いのではないか」と考えてしまう人は少なくありません。けれど実際には、ストレスそのものをゼロにできる仕事は存在しません。どの業界でも、どの職種でも、程度の差はあっても負荷は必ずかかります。

違いが出るのは、ストレスを感じるかどうかではなく、そのあとどう回復できるかです。長く安定して働いている人ほど、無意識のうちに回復の仕方を身につけています。

その代表的な考え方の一つが「心理的ディタッチメント」です。

仕事が終わっても、頭だけが働き続けていないか

心理的ディタッチメントとは、簡単に言えば「仕事が終わったら、仕事から離れること」です。体は職場を離れていても、頭の中では反省会が続いている。そういう状態では、休んでいるつもりでも疲労は抜けません。

帰宅後に今日のミスを思い出したり、休日に来週の段取りを考え続けたりすることは、真面目な人ほどやりがちです。向上心があるからこそですが、その状態が続くと、心は常に仕事モードから切り替わらなくなります。

仕事から離れるとは、「考えないように我慢する」ことではありません。考えられない時間や環境を、意識的につくることです。仕事が終わったあとのルーティンを決める人が多いのは、そのためです。シャワーを浴びる、服を着替える、外に出る。どんなことでも構いませんが、「ここから先は仕事ではない」と区切りをつける行為が、思っている以上に効いてきます。

真面目な人ほど、問題に立ち向かいすぎてしまう

ストレスへの対処には、大きく分けて二つの方向があります。一つは原因を分析して改善しようとする方法、もう一つは気持ちそのものを回復させる方法です。

多くの職場で評価されやすいのは前者です。問題を見つけ、改善策を考え、次に活かす。とても大切な姿勢ですが、これだけに偏ると、常に頭がフル回転になります。

本来は、気持ちを一度リセットする時間も同じくらい重要です。仕事のことを考えずに没頭できる時間がある人ほど、翌日の集中力が戻りやすいことが分かっています。休むことはサボりではなく、次に働くための準備です。


反省よりも「今日はここまで」を決める

ストレスを溜めやすい人の話を聞いていると、一人反省会を日課にしているケースが多く見られます。今日の言い方はどうだったか、もっと良い方法があったのではないか。そうやって振り返ること自体は悪いことではありません。

ただ、反省が終わらないと、仕事は頭の中で延長戦に入ります。大切なのは、反省をしないことではなく、終わらせることです。

「今日は無事に終わった」「致命的な問題はなかった」。それだけでも、その日の仕事には区切りをつけていいはずです。完璧を目指すよりも、今日は及第点だったと自分に言えるかどうかが、疲れ方を大きく左右します。

ストレスは、一人で抱えるほど大きくなる

仕事の悩みが深刻化する最大の原因は、一人で考え続けてしまうことです。相談すれば早く解決できるかもしれない問題も、頭の中だけで回しているうちに、どんどん重たくなります。

多くの人は、相談することで迷惑をかけてしまうのではないか、否定されるのではないかと考えます。しかし実際には、早い段階で共有された方が、仕事としては助かるケースの方が多いものです。

相談とは、答えを持っていくことではありません。「少し詰まっている」「方向性で迷っている」。それだけで十分です。言葉にすることで、自分の中の整理が進むことも少なくありません。

自分を回復させる習慣を持っているか

評価や感謝がすぐに返ってこない仕事ほど、自分で自分を回復させる仕組みが必要になります。無事に一日終えたこと、面倒な作業をやり切ったこと。そうした小さな達成を、なかったことにしない。

ストレスに強い人は、特別に鈍感なわけではありません。疲れたことを認め、回復させる術を知っているだけです。

長く働くために必要なのは、折れない心ではない

よく「メンタルが強い人が生き残る」と言われますが、実際は少し違います。長く働ける人は、折れない人ではなく、折れる前に整えられる人です。

心理的ディタッチメントも、相談する習慣も、自分に区切りを与えることも、すべてそのための技術です。どれも才能ではなく、意識すれば誰でも身につけられます。

ストレスは敵ではありません。扱い方を知らないと厄介なだけです。仕事を続けていくために必要なのは、気合ではなく、整える力なのだと思います。

ともふみ

現役新聞記者。
大学卒業後、舞台俳優やロックバンドの道に。コロナ禍を機に仕事がなくなり、ただのフリーターになる。30歳を迎える2021年、一念発起して正社員として働く道へ。
ブラック企業2社を経て、現職に就く。

大企業の社長へのインタビューや、採用担当者、広報担当者から得た働く現場の声を皆さんにお届け。
職歴のないアラサーへ向け、人生を取り戻す術を発信する。

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